「務める」は、どちらかと言うと、日常生活よりビジネスシーンでよく使われる言葉です。

まずは、「務める」の意味や使い方をできるだけ詳しく解説します。

「務める」は、「社長」「市長」「映画の主役」などの役目を引き受けるとき使用しますが、正に任務を果たすという強い決意が必要です。

実は「務」の漢字にはそのような強烈な意味が含まれているのです。

また、ビジネス上大切な敬語や英語表現などを用例も交えながら解説します。


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「務める」の意味

「務める(つとめる)」は、役割・任務などを引き受けて、その仕事をやり遂げるという意味です。

一般的に「務める」とは、他者からの任命や依頼により、社長や部長などの役割を引き受けます。

このように、大きな信頼や期待を背負って任される役目ですから、何としても責任を果たすという強い決意が必要です。

つまり「務める」とは、強い決意で任務を果たすこと。具体的には「社長を務める」「映画の主役を務める」「飲み会の幹事を務める」などと表現します。

ご覧のように「務める」には、何としても成し遂げようとする本人の強いニュアンスが含まれているので、そのあたりの意味あいは「務」の語源で理解することができます。

「務」の語源

漢語の「務」は、「矛」+「攵」+「力」で構成されています。

「矛」は、困難を排して進むほこ。「攵」は、撃つ。たたく。「矛」+「攵」で、危険を冒して突き進むこと。

さらに「力」を加えた「務」は、「困難を克服しようと、力強く突き進んでいく」という原義から転化し「困難を顧みず引き受けた役目をやり遂げる」という強烈な意味を持っています。

この「務」の意味は、正に冒頭で説明した「務める」の意味、「役割・任務などを引き受けて、その仕事をやり遂げる」に他なりませんね。

「務める」の使い方と例文

「務める」の使い方

「務める」は他動詞で、「~を務める」のように使います。直前の「~」には目的語、さらに格助詞の「を」を付加して、市長なら「市長を務める」という文章が出来上がります。

では「務める」の具体例としては、「初当選し、これから市長を務めます」「4月から会社の社長を務めます」のような大任の場合もありますが、「飲み会の幹事を務めます」のように一般社員が関わる役割にもよく使われます。

いずれにしても、新市長・新社長・新幹事は大切な任務を背負ったことを認識して述べているので、聞き手には、任務を果たしたいという決意表明をしているように聞こえるでしょう。

「務める」の例文

・初当選したので4年間市長を務めます
・新年度から会社の社長を務めます
・彼女は受付係を務めることになった
・今年は飲み会の幹事を務めます
・私は演劇の主役を務めます




「務める」の敬語と英語表現

「務める」の敬語表現

「務める」は、どちらかと言うとビジネスシーンでよく使われますので、敬語表現にも注意する必要があります。


丁寧語・・・丁寧に言うことで、相手に敬意を表す敬語表現です。
尊敬語・・・相手に対して、上位のものとして敬う気持ちを表す敬語表現です。
謙譲語・・・自分または自分の側にあるものに対して、へりくだる表現をすることにより、相対的に相手を立てる敬語表現です。

「務める」の丁寧語

  • 「務める」の丁寧語・・・「務めます」

敬語表現は、語末に「です」「ます」などの助動詞を付けるだけです。この場合は「ます」を付けて「務めます」という丁寧語ができます。

例えば「私は、来月から営業部長を務めます」のような表し方をします。

「務める」の尊敬語

  • 「務める」の尊敬語・・・「お務めになる」

敬語表現は、「れる」「られる」「給う」「お~になる」など。この場合は「お~になる」を用い、末尾に丁寧語の「ます」をつけて「お務めになります」という尊敬語ができます。

例えば「彼は、来月から社長をお務めになります」のような表し方をします。

「務める」の謙譲語

「務める」の謙譲語は、2種類存在します。

  • 「務める」の謙譲語Ⅰ・・・「務めておる」
  • 「務める」の謙譲語Ⅱ・・・「務めさせていただく」

まず謙譲語Ⅰは、「務める」に補助動詞「いる」の謙譲語「おる」を付加し、末尾に丁寧語の「ます」をつけて「務めております」という謙譲語ができます。

例えば、「会社役員を務めております」のような用い方をします。

一方謙譲語Ⅱとしては、相手に許可を得ている場合に使用する謙譲表現です。

「務める」に「させてもらう」の謙譲表現「させていただく」をつけ、さらに末尾に「ます」をつけ「務めさせていただきます」という謙譲語ができます

例えば、自治会の会長を推薦され、お引き受けする際、「自治会の会長を務めさせていただきます」のような用い方をします。

「務める」の英語表現

「務める」を英語に翻訳するには「serve」「act」「play」を使い分けます。

「serve」・・「asを伴って、~として任期や役目を務める」
「act」・・・「asを伴って、~の役を務める」
「play」・・「~を演じる」

彼は市長を務めた。   He served as the mayor.
彼は10年間社長を務めた。He served as president for 10 years.
彼女は受付係を務めた。 She acted as a receptionist.
彼女は秘書を務めた。  She acted as a secretary.
私は主役を務めた。   I played the leading role.

「務める」と「勤める」の使い分け

「務める」と「勤める」は意味が似ているため、昔は書き分けが判然としていませんでした。「務める」と書くべき所に「勤める」が使われ、また逆の使われ方も多々あったようです。

例えば、夏目漱石の坊っちゃんで「食堂の代理を務める」と書くべき所に「食堂の代理を勤める」と記述されています。

現在では、常用漢字表に「務める」と「勤める」が明確に示されたため、多くの新聞・通信社では新聞用語集などを作成し、「つとめ(る)」が「任務」なら「務める」、「勤務」なら「勤める」として使い分けしています。

例えば「会社の社長をつとめる」の場合は、社長のつとめが「任務」の意味に当るため「務める」を使います。

一方「社員として会社につとめる」は、社員のつとめが「勤務」の意味に当るため「勤める」と使い分けています。

なお「勤める」の詳しい意味をお知りになりたい方は下記をご覧ください。
⇒ 「勤める」の意味と使い方!敬語や英語表現も例文で解説

まとめ

ビジネスシーンでよく使われる「務める」の意味や使い方を中心に、敬語や英語表現を用例も交えながら詳しく解説しました。

また「つとめる」と訓読みする「務める」「勤める」については、「つとめ」が「任務」の意味なら「務める」、「勤務」の意味なら「勤める」と使い分けしてください。







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