「弊社」と「当社」。どちらも自分の会社というのは、なんとなく分かるでしょう。

自社のオフィスで打合せしている4名の事務員
でも違いが分からないって方結構いるようですが、意味的にどのように違うのでしょうか?

一つ大切なヒントがあります。「弊社」と「当社」の違いは謙譲語かどうかです。

それでは、「弊社」と「当社」の意味と違いをご一緒に見ていきましょう!


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「弊社」とは

「弊社」の意味は、自分の会社の謙譲語

まず「弊社」の意味を国語辞典で確認します。

「弊社」:自分の属する会社をへりくだっていう語。
(引用元:精選版日本国語大辞典)

ご覧のように「弊社」は、自分の会社をへりくだる謙譲語です。

お客様の担当者が変わったので名刺を渡す
また「弊社」の二字は、自分の会社に関して謙譲表現を示すだけでなく、その表現により相手に対して敬意(尊敬の気持ち)も表す、高度な表現なのです。


「弊社」の「弊」の漢字が謙譲表現

では「弊」の語義から謙譲表現であることを確認しましょう。

「弊」は「布を二つに切り分ける」「破れてだめになる」「粗末」の意から転じ「自分の物に冠する謙称」という意味になります。

よって「弊」に「社」を加えた「弊社」の意味は、文字通り「自分の会社の謙譲表現」、に他なりません。

なお「弊社」は「自社(社)」に冠する謙称表現ですが、同様の表現として「弊家」「弊宅」「弊屋」「弊店」「弊国」などの謙譲語も存在します。それぞれの意味はもうお分かりですね。

「弊社」は社外の取引先やお客様に使う

ところで「弊社」という謙譲語は、どこで使ったらよいのでしょうか?

  • 「弊社」は、社外に向けて使います。

確かに自分という個人を謙遜する相手は、社内にも社外にも存在します。

でも、自分の会社をへりくだる対象は社外の人だけ。「弊社」とは、「自社」をへりくだることで、取引先やお客様に敬意を表す言葉なのです。

使い分けが難しいと言われる敬語。ビジネスマナーを守って粗相のないようにしたいですね。




「当社」とは

「当社」の意味は、自分が勤務する会社

一方「当社」の意味も国語辞典で確認します。

「当社」:自分の所属するこの会社。
(引用元:精選版日本国語大辞典)

ご覧のように「当社」は、自分が勤務している会社のこと。「自社」の丁寧語にあたるとする考え方もありますが、丁寧語ではないとも言われています。なお7種類の国語辞典の調査結果によると、「当社」が丁寧語であるとの記載は皆無でした。
⇒ goo国語辞書(デジタル大辞泉)

いずれにしても、くだけた感じの「うちの会社」や「私の会社」と比較すれば、「当社」の方がよりスマートで丁寧な表現に感じます。ですからビジネスシーンでは「当社」を使いたいですね。

「当社」の「当」の意味は、「この」「その」

ここで漢字の意味を解説します。

まず「当社」の「当」は、「目下のところの」「この」「その」という意味があります。

よって「当社」の意味は、「自分の所属する会社」「この会社」、に他なりません。

なお「当社」と同じく、「この○○」を意味する「当店」「当行」「当山」「当家」「当地」などたくさん存在しているのも事実です。

「当社」は謙遜が必要ない主に社内で使う

ところで「当社」は、どんなとき使ったらよいのでしょうか?

  • 「当社」は、謙遜する必要ない主に社内だが、社外でも使う。

自社内では謙遜する必要がないので、「当社」を使用するのが一般的です。たとえ上司や先輩との会話やメールであっても、社内では「当社」を使用します。

社内の会議室で打合せする男性社員
ところが、社外でも対等な立場に立ち謙遜する必要がない場合があります。そんなときは社外の人に対して「当社」を使った方がよいでしょう。

例えば、相手に抗議やクレームを伝えるとき、会社ホームページ上での会社案内、求人募集に記載するときなどですが、「当社の規定により優遇」などと使うのが自然です。

「弊社」と「当社」の違いは謙譲表現

口語表現でも文語表現でも使える「弊社」と「当社」は、共に自分が所属する会社のこと。違いは、謙譲表現をするかしないかです。

・自社をへりくだるとき、「弊社」を使う。場合によっては「小社」を使う。
・自社をへりくだる必要がないとき、「当社」を使う。場合によっては「わが社」を使う。

相手との関係により、謙譲表現するかしないかで使い分けるってことですね。

まとめ

これまで「弊社」と「当社」の意味と違いについて見てきました。

「弊社」の意味、自分の属する会社をへりくだっていう語。
「当社」の意味は、自分の所属するこの会社。

このように、「弊社」と「当社」の違いは謙譲表現をするかしないかです。

ビジネスマンとして特に気を付けたいのは、「弊社」の使い方でしょう。「弊」の字の意味もご紹介しました。取引先やお客様に対するビジネスマナーをよく理解して接してくださいね。







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