職業柄、名刺や契約書を見る機会が度々ありますが、ほとんど「代表取締役」か「代表取締役社長」と記載されています。

この「代表取締役」と「代表取締役社長」の違いは何でしょうか?

社長室で笑顔を見せる代表取締役社長

一般的に言われている違いは、ブログ等でこんな感じで説明されています。

◆「代表取締役」は法律上の地位で最高責任者。一方「代表取締役社長」は、法律上の地位および社内での最高の地位も有しているので、ホンモノの最高責任者と言える。

でも違うんです。そうではありません。大企業・中小企業別に調査した結果です。結論から言いましょう。

  • 大企業においては、「代表取締役」と「代表取締役社長」の違いは、社内での権限の違い
  • 中小企業においては、「代表取締役」と「代表取締役社長」の違いは、ほぼなし

代表取締役と代表取締役社長の違いは、大企業と中小企業では別結果なんです。ビックリされましたね~ 

説明が長くなってしまいますので、本文で少しずつ説明していきます。

ではこれから、代表取締役は法律上の地位を所持、代表取締役社長は2つの地位を所持、代表取締役と代表取締役社長の違い等について解説します。


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代表取締役は、法律上の地位を所持

ではまず「代表取締役」について理解しましょう。

結論から言えば、

  • 「代表取締役」は『法律上の地位』を所持しているから、対外的に責任が重い!

例えば、「代表取締役 日本一郎」と「代表取締役社長 山田三郎」の『法律上の地位』は、等しく高いです。

会社法では、「代表取締役」は『法律上の地位』を所持し、会社を代表して、業務(例えば契約・融資)・株主総会や取締役会等を執行できます。

そもそも「代表取締役」の『法律上の地位』は、商業登記簿の役員欄に、下記のように記載されることにより確定されます。もちろんその登記簿は誰でも閲覧可能です。

住所
「代表取締役」の5文字
氏名

つまり「代表取締役」と『法律上の地位』は切っても切れません!

ということは、「代表取締役」の表記が契約書にあれば、『法律上の地位』を所持しているとされ、契約後は訴訟が起きた場合、逃げも隠れもできないわけです。「代表取締役」は対外的にそれ程責任が重いってことなんです。※責任が重いことを、まとめに補足しておきました。


代表取締役社長は、2つの地位を所持

前章で「代表取締役」がご理解できましたね。この章では「社長」と「代表取締役社長」を見ていきましょう。

社長は、社内での地位が最高責任者

ところで「社長」・「会長」・「専務」等は、各会社が自ら定めた社内での役職です。

もちろん肩書が「社長」だけの場合、『社内での地位』は最高責任者ですが、『法律上の地位』は最高責任者ではありません。

ですから社内的に最高責任者である「社長」は、一般的には社内に1名だけです。

代表取締役社長は、法律上も社内的にも最高責任者

「代表取締役社長」とは、「代表取締役」であり、「社長」でもあるわけです。

  • 「代表取締役社長」は『法律上の地位』を所持しているから最も責任が重く、『社内での地位』も最も高い責任者

したがって「代表取締役社長」は、社内の代表取締役人数に関わらず、法律上も社内的にも最高責任者なんですね。

法律上も社内的にも最高責任者ということは、「代表取締役社長」も、特別の事情がない限り社内に1名のみです。複数の「代表取締役社長」は、特別の事情がない限りオカシイ。法律上はOKですが。。

ご参考に...特別の事情のある会社が日本に2社存在します。その内の1社、東証一部上場の株式会社IDOMは代表取締役社長二名体制。代表取締役社長 羽鳥 由宇介氏、代表取締役社長 羽鳥 貴夫氏。


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代表取締役と代表取締役社長の違い

「代表取締役」と「代表取締役社長」の概要が分かったところで、両者の違いを2つの角度から見ていきましょう。

違いを一般的な方法で解説

まず1つ目。「代表取締役と代表取締役社長の違い」は、16文字ですね。この16文字から素直に考えてみましょう。

  • 「代表取締役」と「代表取締役社長」の違いは、社内での権限の違い

「代表取締役」は『法律上の地位』で最高責任者ですが、「代表取締役社長」は『法律上の地位』も『社内での最高の地位』も有しているので、ホンモノの最高責任者と言えるでしょう。。

誰もがそのように思います。。。でもチョット待って!

調査によると、大企業と中小企業では別結果

では2つ目、すでに冒頭でもご紹介した、大企業・中小企業別に調査した結果からの結論です。

  • 大企業においては、「代表取締役」と「代表取締役社長」の違いは、社内での権限の違い
  • 中小企業においては、「代表取締役」と「代表取締役社長」の違いは、ほぼなし

代表取締役と代表取締役社長の違いは、大企業と中小企業では全く異なりますね。

では詳しく解説しますね。大企業(15社)と中小企業(45社)、合計60社の「代表取締役」と「代表取締役社長」の存在有無を調べてみました。

60社中59社で59名の「代表取締役」または「代表取締役社長」が存在していました。
60社中1社で「代表取締役会長」と1名の「取締役社長」でした。

59社中25社で「代表取締役」が存在(25社すべて中小企業、内23社は代表取締役が1名だけ)

59社中34社で「代表取締役社長」34社すべて1名だけ存在
34社中13社が大企業に所属の「代表取締役社長」。内数社に「代表取締役専務や副社長」も存在
34社中21社が中小企業所属の「代表取締役社長」

上記の調査結果を分析して、「代表取締役」と「代表取締役社長」の違い、大企業・中小企業別に58社を整理してみました。

まず大企業における違いからご覧ください。

大企業における両者の違い

調査結果からポイントをまとめると、大企業14社中、「代表取締役社長」が13社に13名が存在。残りの1社は「代表取締役会長」と「取締役社長」が存在、「取締役社長」は1名だけ。

よって分かったことは…大企業には、必ず1名の「代表取締役社長」、または1名の「□□□社長」と「代表取締役○○○」が存在。

前者は、一人で社内外の責任者に。後者の場合は、「□□□社長」が社内の責任者、「代表取締役○○○」が社外の責任者でしょう。このように、社内・社外の責任者が明確です。大企業ですから当然といえば当然ですけどね。

以上の説明により、

  • 大企業においては、「代表取締役」と「代表取締役社長」の違いは、社内での権限の違い

中小企業における両者の違い

調査結果からポイントを整理します。中小企業44社中、「代表取締役」が1名だけの23社に「社長」が存在しない。別の21社には「代表取締役社長」が存在。

よって分かったことは…21社に1名の「代表取締役社長」が存在。別の23社には「社長」がおらず「代表取締役」が一名だけという状況。23名の「代表取締役」さんは「社長」も兼務している訳ですね。

つまり、23名は名刺上「代表取締役」でも、実態は「代表取締役社長」。21社の「代表取締役社長」と実質同じ(社内外で)権限ですね。

きっと23名の「代表取締役」さんは、社内外から「社長」と呼ばれているのでしょう。そんな中小企業の社長、筆者の身近にも10名以上います。

以上の説明から、

  • 中小企業においては、「代表取締役」と「代表取締役社長」の違いは、ほぼなし

どちらも社内外ともに、最終責任者とみていいでしょう。


まとめ

最後に、「代表取締役」の責任の重さについて補足しておきましょう。

筆者は、人事・労務・法務などを担当していますから、会社の登記や契約書作成などに関わっています。

さきほど、商業登記簿の役員欄に「代表取締役」は氏名及び住所が記載されると書きましたが、じつは「取締役」も記載されます。ただし氏名のみで、住所は記載されません。

ということは、訴訟が起きた場合...
「代表取締役」には、会社の事務所がなくても裁判関係の書類を送付できます。でも「取締役」には送付できませんね。

「代表取締役」や「代表取締役社長」は、最後の最後まで責任が重いのですね。






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