「回答(かいとう)」と「解答(かいとう)」はよく使う同音異語です。意味もよく似ています。

きっと私を含め多くの人は、子どもの頃「解答」をよく使い、社会人になってから「回答」を使うようになったことと思います。

メールで回答するサラリーマン
ですから使い分けを知っていても、「回答」と「解答」の意味の違いとなると明確に即答できる人は少ないかもしれませんね。

そこで、「回答」と「解答」の意味の違いを中心に、それぞれの意味やの使い方を見ていきましょう。


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「回答」と「解答」の違い

◆「回答」:質問などに答えを返す
◆「解答」:問題を解き答えを出す

「回答」と「解答」は、どちらも「かいとう」と音読みする同音異語です。その違いを見ていきましょう。

  • 「回答」と「解答」の大きな違いは、「答えを返す」か「解いて答えを出す」か。

つまり答えの扱い方が違うのですね。

例えば自治会が町に対して、地域で起こった問題に関する要望書を提出し「回答」を求めます。町は、要望書に対する「答え」を出し、回答書により自治会に「答えを返し(=「回答」)」ます。

一方大学入試の出題者は、全ての問題に正解を用意します。そして試験当日受験生は、それぞれの問題を「解いて答えを出すこと(=「解答」)」に全力を尽くします。

「回答」の意味


国語辞典による「回答」の意味

「回答」:質問・要求などに答えること。また、その答え。
(引用元:goo国語辞書(デジタル大辞泉))

上記のように、「回答」とは質問などに対して「答えを返す」こと。また、その答え。返答にきわめて近い意味を持っています。

また、漢語の「回」には「丸くまわる」という原義から転化し、「回って元へ戻す」や「向きを変えて返す」という意味があるため、「回」に「答」を加えた「回答」の意味は「答えを元へ返すこと」に他なりません。

「回答」は、誰の元へ返すの?

では「元へ返す」と言いますが、誰の元へ返すのでしょう?

もちろん返す相手は、事前に質問や要望した人。つまり「回答」とは、事前に質問(書)や要望(書)などを受け取り、その相手に向けて返答することなのですね。

例えば「見積依頼」に対して「見積依頼の回答」とか、「お客様の問い合わせ」に対して「お客様の問い合わせに対する回答」のように、質問・依頼・問い合わせなどとセットで行われています。

ビジネス文書での「回答」は、敬語表現で

また「回答」は、「見積依頼に回答する」「校庭整備の要望に対する回答」のように、主にビジネス文書・公文書・メールなど改まった場所で使用されています。

ですから「回答書」を作成する際、依頼者に対して敬意を表して「お見積依頼につきまして、ご回答申し上げます。」のように正しい敬語表現を使うことをお勧めします。

なお「回答書」の内容には正解というものはないので、正誤が問題になることは少ないです。ただ相手は理由があって「回答」を求めたわけですから、誠意ある内容で「回答」することも大切です。




「解答」の意味


国語辞典による「解答」の意味

「解答」:問題を解いて答えを出すこと。また、その答え。
(引用元:goo国語辞書(デジタル大辞泉))

ご覧のように、「解答」とは問題を「解き明かし答える」こと。また、その答え。なお、その答えと同じ意味に答案があります。

また、漢語の「解」には「ばらばらに解き分ける」という原義から転化し、「不明な点を明らかにする」「解き明かす」という意味があるため、「解」に「答」を加えた「解答」の意味は「解いて答える」に他なりません。

「解答者」は、正解をめざします

ところで「解答」させるため、あらかじめ出題者が問題の正解を用意します。そして試験当日「解答者」が「解答欄」に正しい「解答」を記入することで、正解となるわけですね。

例えば、「入試問題に解答する」「期末試験の問題に解答する」のように、受験先や校内などで受験生は正解を出すため頑張って「解答」します。

正解を目差す訳は、合否判断が「解答」の正誤の為

受験生が正解をめざすには理由があります。入試や検定試験の合否の判断基準が、もっぱら「解答」の正誤だからです。

なお授業中先生が尋ねる質問に答えるのは「解答」。「回答」ではありません。あらかじめ正解が用意され、学力の程度を判断する目的で出題されるからです。答えがわかったら手を挙げて「解答」しましょう。

「回答」と「解答」の使い方

「回答」と「解答」の使用例を挙げておきました。ご参考にご覧ください。

「回答」の使用例

・アンケートの回答者
・アンケートの回答用紙に記入する
・問い合わせに回答する
・賃上げ要求に回答する
・メールで質問に回答する

「解答」の使用例

・英語の問題に解答する
・テストの解答用紙に記入する
・大学入試の解答速報
・英検の問題に解答する
・クイズの解答者

まとめ

これまで「回答」と「解答」の意味の違いを中心に見てきました。最後にポイントをご確認ください。

「回答」と「解答」の大きな違いは、「答えを返す」か「解いて答えを出す」か。答えの扱い方が違います。

「回答」:質問・要求などに答えること。また、その答え。
「解答」:問題を解いて答えを出すこと。また、その答え。

「回答」は、事前に質問や要望を受け取って返します。正しい敬語表現を使用し、誠意ある内容で「回答」することが大切です。
一方「解答」は、出題者が事前に正解を用意します。試験の合否判断基準が正誤のため、受験生は正解を出すため頑張って「解答」します。

これで「回答」と「解答」の意味の違いが理解できます。今まで以上に自信を持って使い分けができそうですね。






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