「見聞」の音読みは、一般的には「ケンブン」です。
「見聞」とほぼ同義の「見聞き」は、「みきき」と訓読みしますが、今回は「見聞」のご紹介です。
「見聞」は文字通り、見たり聞いたりすることですが、他にも知ってほしい意味があります。
ではこれから「見聞」とは何か?意味を中心に、類語・使い方など、用例を交えながら解説します。
目次
「見聞」とは
「見聞」の意味
国語辞典による「見聞」の意味から見ていきます。
「見聞(ケンブン)」:見たり聞いたりすること。また、それによって得られる経験・知識。
(引用元:学研現代新国語辞典)
「見聞」の「見」は、「見学」でも使われ「見る」「見える」の意味を持ち、「聞」は、「聞(き)く」という意味の他に、「耳からきいて得た知識」という意味があります。
つまり二字熟語「見聞」は、「見たり聞いたりすること」「見聞きすることによって得られる経験・知識」という意味合いがあることがよく分かりますね。
また「見聞」は、おおかた「実際に現地へ行って物事や風景などを見たり聞いたりすること」や「見聞きすることによって得られる知識・技術・経験」」といったニュアンスで用いられます。
その用例として、「見聞する」「見聞を得る」「見聞を広める」などという言い回しがよく使われます。
文例として「京都の寺や神社を一日かけて見聞した。」は、京都で見聞きしたというニュアンスが込められ、「京都へ旅行をして、寺や神社の見聞を広めることができた。」は、実体験をしてみて京都にある寺や神社の知識・経験がさらに広がった、という微妙に違うニュアンスが込められています。
「見聞」の読み方
「見聞」の音読みは、「ケンブン」と「ケンモン」。
「ケンブン」の「ブン」は「聞」の漢音、「ケンモン」の「モン」は「聞」の呉音です。
一般的に「見聞」は「ケンブン」と音読みされていますが、「ケンモン」は、新明解国語辞典によると「ケンブン」の古風な表現とされています。
「見聞」の文法と使い方
「見聞」は名詞です。
「見聞が広がる」「見聞を深める」「見聞の広さ」などの名詞的用法で用いるほか、「見聞する(サ変動詞)」という動詞的用法でも用いられます。
なお名詞の「見聞」に「する」が付くと「見聞する」という複合語のサ変動詞となります。
「見聞」の類語
「見聞」の類語はたくさん存在しますが、意味が類似している「知見」「知識」との違いを通じて、「見聞」の意味を深めていきます。
「見聞」と類語「知見」の違い
「見聞」と「知見」は、「物を見たり聞いたりすること」「見て知識や経験を得ること」ではほぼ同じです。
違いは、「知見」には「知識」だけでなく、「見識」や「悟り」という別の意味を持っていること。
「見識」や「悟り」は、物事の本質を見極めるものですから、「知見」の方が奥深い意味があるのです。
※「知見の意味などを紹介した別記事もありますので、合わせてご覧ください。
→ 「知見」とは?意味を中心に使い方や類語を詳しく解説
「見聞」と類語「知識」の違い
まず「見聞」の意味は「見聞きして得た知識」です。
「知識」の意味は「ある物事について知っていること」。その内容は「見聞」で得た「知識」を含め、本やテレビで見た「知っていること」の全てが「知識」なのです。
つまり、どちらも「知識(=知っていること)」という括りでは同じもの、違いはありません。
ただ両者には包含関係があり、「見聞」⊂「知識」。「見聞」は「知識」の一部として含まれます。
「見聞」の使い方(例文)
「見聞」の主な使い方は2種類あります。
・「見聞」を名詞として用いる方法
・「見聞する」というサ変動詞として用いる方法
「見聞(名詞)」
「見聞」を名詞として、「見聞が広がる」「見聞を広める」「見聞を深める」「見聞の広さ」のように用います。
・ぜひ見聞を広めるため、様々な場所を訪れてみたい。
・見聞を深めるため、オランダの海抜ゼロメートル地帯を旅行したい。
・彼の体験談を聞いたら、見聞の広さが手に取るように分かった。
「見聞する(サ変動詞)」
「~を見聞する」のように他動詞として活用されます。
まとめ
「見聞」には、は文字通りの意味「物事を見たり聞いたりすること」の他にも、「見聞きして得られる経験や知識」という意味もあります。
その「見聞」で得られる「知識」と一般的な「知識」の関係をご紹介しようと思っていたら、なんと「見聞」⊂「知識」という包含関係があることが分かりました。
「知識」と包含関係となる言葉は、「見聞」以外にもたくさんありそうです。また別記事でご紹介します。