「認識」は、日常会話でも使用されますがどちらかと言うとビジネスシーンで多く使用される言葉です。

「認識に欠けている」とか「認識が甘い」などと上司から注意され、頭を下げている社員の姿が目に浮かんできます。

まず「認識」の意味からですが、哲学的な意味のため理解するのにちょっと苦労します。例文を添えましたので、ゆっくりご覧ください。

ではこれから「認識」とは何か?意味を中心に、類語(理解と把握)・使い方などを解説します。


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「認識」とは

「認識」の意味

国語辞典による「認識」の意味から見ていきます。

「認識(ニンシキ)」:
①物事を見分け、本質を理解し、正しく判断すること。また、そうする心のはたらき。
②〔哲〕〔英 cognition;ドイツ Erkenntnis〕人間(主観)が事物(客観・対象)を認め、それとして知るはたらき。また、知りえた成果。感覚・知覚・直観・思考などの様式がある。知識。

(引用元:大辞林)


「認識」の「認」は、「承認」の言葉でも使われ「物事の本質を見極める」「じわじわと見さだめる」の意味を持ちます。また「識」は、「見識」の言葉でも使われ「判別の仕方」「物事の是非・善悪の見わけ方」の意味があります。

つまり二字熟語「認識」は、「物事を見極め本質を理解し、正しく判断すること」という意味合いがあることが分かります。

また、多くの場合「認識」は、「物事の本質をはっきりと見極め、十分に理解し、善し悪しや是か非かを正しく判断するここと」といったニュアンスで用いられます。

その用例として「認識が甘い」「認識を新たにする」のような言い回しがよく用いられます。

文例として「彼は、仕事に対する認識が甘いと注意されてきたが、係長に昇進してからは認識を新たにし、人が変わったように見える。」という発言には、「仕事に対する認識が甘かった彼が、係長昇進と同時に認識が大きく変わるとは嬉しいですね。」というニュアンスが込められています。

「認識」の文法と使い方

「認識」は、名詞または動詞として使われます。

まず名詞として、「認識が~」「認識を~」「ご認識」のように用いられます。

一方動詞としては「認識」+「する」で「認識する」というサ変動詞となります。「~を認識する」のように用いられます。

使い方の例文は、第3章をご覧ください。




「認識」の類語

「認識」の類語「理解」「把握」」との違いを通じて、「認識」の意味を深めていきます。

「認識」と類語「理解」の違い

再び大辞林から「認識」と「理解」の意味を引用します。

「認識」:物事を見分け、本質を理解し、正しく判断すること。また、そうする心のはたらき。
「理解」:物事のしくみや状況、また、その意味するところなどを論理によって判断しわかること。納得すること。のみこむこと。

(引用元:大辞林)

違いは、何を理解する(わかる)か。「認識」は、物事の本質(や意義)を理解すること。一方「理解」は、物事のしくみや状況をわかる(理解する)こと。

例えば、前者は「私は営業部長に就任したので、その事の重要性(営業部長の本質・意義)を認識しています」のように、後者は「私は経理課に配属されたので、商業簿記を理解します」のように用います。

※「理解」の意味などを紹介した別記事もありますので、合わせてご覧ください。
→ 「理解」とは?意味を中心に類語や使い方を詳しく解説

「認識」と類語「把握」の違い

「認識」の意味は、「物事を見分け、本質や意義を理解すること」。「把握」は「物事の状況などをよく理解すること」で、どちらも理解することでは同じです。

両者の違いは、理解する内容です。

「認識」は、物事の本質や意義、その物の核心部分を理解します。「政権交代しそうなので、各党の間でそれ(政権交代の本質・意義)の認識が高まってきた」のように用いられます。

他方「把握」は、物事の状況や文章の内容などを理解します。「認識」より範囲が狭く内容は具体的なもの。「消防局は被災地の状況を把握した」のように用いられます。

※「把握」の意味などを紹介した別記事もありますので、合わせてご覧ください。
→ 「把握」とは?意味を中心に類語や使い方を詳しく解説

「認識」の使い方と例文

「認識」の主な使い方は2種類あります。

・「認識」を名詞として用いる方法
・サ変動詞「認識する」として用いる方法

「認識(名詞)」

名詞である「認識」は、「認識が甘い」「認識を持つ」のような言い回しで使われます。

また「認識」に接頭語の「ご」を付ける尊敬表現も使用できます。

・この一大事を見て決断できないのは、認識が甘いと言わざるを得ない。
・部長なんだから、部長としての認識を持ってもらわないと困る。
・この事態を理解できない社長に「事の重大さをご認識ください!」と迫った。

「認識する(動詞)」

サ変動詞である「認識する」は、「~を認識する」のように用いられる他動詞です。

・国交相が被災地を視察後「しっかり対応しなければいけないと認識した」と語った。

まとめ

「認識」とは何か。意味を中心に使い方や類語などを解説してきました。

「認識が甘い」などと部下を注意している社長さんや部長さんには、参考になったでしょうか。






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