「制作」と「製作」は、同音で「せいさく」と読みます。意味もよく似ています。

気になる両者の意味の違いは、「芸術作品か実用品か」で区別できます。

両者の意味をしっかり理解すれば、区別はとてもやり易いのではないかと思います。

ではこれから「制作」と「製作」の意味と違いを見ていきましょう。


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「制作」の意味

まず「制作(せいさく)」の意味から見ていきましょう。

「制作」:芸術作品を作り出すこと
(引用元:旺文社国語辞典)

なぜ「制作=芸術作品」なのか

「制作」の意味は理解できました。ではなぜ「制作=芸術作品」なのでしょう。その理由を漢和辞典で調べてみました。

まず「制作」の「制」を「未」と「刀」に分けます。「未」は枝の重なる木の意。

よって「制」とは、元々余分な木の枝を「刀」でそぐこと。つまり整えること。

「制」には、「製」のような「衣」(=目的)がないところから、思い通りに形を整えつくる意味となります。

以上から、「制」に「作」を加えた「制作」の意味は、思い通り独創的に芸術作品を作ること、に他なりません。「衣」(衣服)のような実用品作りではありません。

「制作」の使われ方

芸術とは、絵画・工芸・音楽・文芸・舞踊・演劇・映画などを言いますが、「工芸品の制作」「演劇の制作」のように、「制作」は人為的に創造する芸術作品を作るときに使われます。

また中学校でも「絵画を制作する」などと用いられます。中学校美術でつくる作品も芸術作品なので、中学校学習指導要領では「制作」を使用します。
⇒ 中学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 美術編


「製作」の意味

続いて「製作(せいさく)」の意味はどうでしょう。

「製作」:機械・道具などの物品を作ること
(引用元:旺文社国語辞典)

なぜ「製作=機械・道具など(実用品)」なのか

「製作」の意味は理解できました。ではなぜ「製作=機械・道具など(実用品)」なのでしょう。

まず「製作」の「製」を、「制」と「衣」に分けます。「制」とは、刀で裁ち切り整えること、整える物が「衣」というわけですね。

よって「製」の意味は、衣服を仕立てるために、布地を刀で裁ち切り整えること。なお衣服を縫って作ることを「縫製」と言いますが「縫制」とは言いません。

以上から、「製」に「作」を加えた「製作」の意味は、実用品を作り出すこと、に他なりません。

「製作」の使われ方

作られる物品は、「製作物」「機械の製作」などと用いられるように、「製作」する物の多くが精密機械・自動車・パソコンなど工場で大量生産されています。

物づくり企業の多くが社名に「〇〇製作所」としているところからも、「製作」の意味がよく分かります。

一方、個人が作る棚・ベンチ・首飾りなども「製作」、小学校の図画工作でつくる自画像も「製作」です。ですから「製作」する物品は、小さな物から大きな機械まで幅広いのですね。


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「制作」と「製作」、意味の違いは芸術作品か実用品か

「制作」と「製作」の意味はよく理解できましたので、両者の意味の違いを見ていきましょう。

「製作」の「製」と「制作」の「制」に着目すると、「衣」が有るか無いかです。

まず「制」は、「衣」(=目的)がないため、抽象的なイメージになり、自分の思い通りに形を整え作ることになります。よって「制作」の意味は、制作者の思い通り独創的に芸術作品を作ること。

一方「製」は、「衣」(=目的)があるので、具体的に進められます。衣服を仕立てるため、布地を裁ち切り整えることになります。よって「製作」の意味は、道具や機械など具体的な実用品を作り出すこと。

これで両者の違いが明確になりましたので、一言で表します。

  • 「制作」と「製作」の違いは、「芸術作品を作る」か「実用品を作る」か

テレビ映画業界は、「制作」・「製作」がセットで必要

ところで、映画・放送業界では独特の慣習があります。巨額の製作費を投入し、商品としての映画や番組を「製作」します。芸術作品としての映画そのものは、制作スタッフが「制作」します。

  • 「制作」:芸術作品である映画や放送番組の創作活動。プロデュース
  • 「製作」:商品としての映画作りから「制作」を除いた活動。映画作りに間接的に関わる、セット設営、衣装、マーケティング、資金調達など

かつて、テレビ番組に関しては「制作」と「製作」の明確な使い分けがない時期がありましたが、2006年著作権法改正で「制作」と明記されてからは、「制作」と「製作」の使い分けがされています。

その著作権法第16条では、著作物の著作者は「制作」、監督等を担当して全体的形成に創作的に寄与した者。つまりプロデューサーの行なう職務(映画等を企画立案し作ること)を「制作」と定義付けています。

著作権法第十六条
映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない。
(引用元:e-Gov法令検索)


まとめ

これまで「制作」と「製作」の意味と違いについて見てきました。最後にポイントを整理しました。

「制作」の意味は、芸術作品を作り出すこと。
「製作」の意味は、機械・道具などの物品を作ること。

「制作」と「製作」の違いを一言で表すと、「芸術作品を作る」か「実用品を作る」かです。

ところでテレビ映画業界は独特で、映画や放送番組を実際に作る作業が「制作」、間接的に関わる行為を「製作」というように使い分けします。

「制作」と「製作」の意味と違いは、以上のように整理してみるとスッキリしますね。






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