「邪推」は「ジャスイ」と読みます。

「邪推」は、通常の日常生活ではあまり使われませんが、ある日突然良くないイメージで「邪推」が訪れます。

「邪推」は一人ではできません。「邪推する人」がいて「邪推される人」がいるから、ある日突然「邪推」という行為が成り立つわけですね。

また「邪推」の「邪」という漢字は、「邪道」「邪心」「邪教」などと用いられるように、いい意味でありません。人間関係に悪い影響を与えそうですね。

ではこれから「邪推」とは何か?意味を中心に使い方・類語など、用例や文例を交えながら分かり易く解説します。


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「邪推」とは

「邪推」の読み方

「邪推」の音読みは、「ジャスイ」です。
「邪」の訓読みは「よこしま」、「推」の訓読みは「推(お)す」です。

「邪推」の意味

まず国語辞典による「邪推」の意味から見ていきます。

「邪推(ジャスイ)」:他人の言動を悪い方向に推察すること
(引用元:学研現代新国語辞典)

「邪推」の「邪」は、「邪心」の言葉でも使われ「よこしま」「正しくないこと」の意味を持ちます。また「推」は、「推理」の言葉でも使われ「考えをおし進めること」という意味があります。

つまり二字熟語「邪推」には、「(心がねじけているため)他人の言動を悪い方に推察すること」という意味合いがあることがよく分かりますね。

また「邪推」は、おおかた「他人の言動や好意に対して、ひがみ・嫌悪感などから悪くないのに悪意でしたように推察する」または「他人の言動など対して、思い違いして結果的に悪く推測する」といった2つのニュアンスで用いられるようです。

前者は悪意があり、後者は悪意がない行為です。どちらにしても「邪推される人」の立場に立てば、たいへん迷惑な話です。

その用例には、「折角の好意を邪推する」「二人の関係を変に邪推された」などという響きの良くない言い回しが使われます。

文例として「部下である社員Aは、いつも私の言動や好意を邪推する人で本当に困っているよ。」と言う上司の発言に、「同じ職場内の社員Aからなぜか邪推され続けているが、個人的にも仕事にも悪影響を与えるもので大変困っている。」というニュアンスが伝わってきます。

このように、他人の言動に対してネガティブな反応をする理由は、主にひがみや思い違からです。特にひがみの場合劣等感やうらやましさから、自分だけが不当に扱われていると思い込む僻みっぽい性格により、物事を素直に受け取ることができないのでしょう。

ですから偶然に受けた相手の好意に対して、(一般の人は感謝の気持ちを表すものですが、)逆にひねくれて解釈し相手の心意を悪い方向に推察し、ただ相手に迷惑を与えるだけなのですね。




「邪推」の使い方と例文

「邪推」の使い方

「邪推」は名詞です。使い方は2種類あり、主として「邪推する」という動詞的用法で用いられるほか、「邪推は~」「邪推の~」「~は邪推だ」などの名詞的用法でも勿論用いられます。

なお「邪推する」は、名詞「邪推」+サ変動詞「する」で「邪推する」という複合動詞となります。

また「邪推される」は、「邪推する」の未然形「邪推さ」に受け身の助動詞「れる」が付いたものです。

「邪推する(複合動詞)」の例文

動詞的用法の「~を邪推する」は「邪推する人」から見た用い方、「~を邪推される」は「邪推される人」から見た用い方と言っていいでしょう。

■「~を邪推する」
他人を心のなかで「邪推」したとしても、それを口外することは慎んだ方がいいでしょう。口外したら、「邪推された人」に迷惑がかかることが想定されます。

・最近彼は体調不良でよく休む。今日も休んだようだが、本当に体調不良なのかと邪推してしまう。

■「~を邪推される」
「邪推する人」は、相手の心中を悪く推し測りますが、「邪推される人」も自分に向けて悪く推測する「邪推する人」の心中を推測します。

下記例文のように、女性の上司と一緒に歩いている姿を友だちに見られたが、その表情から二人の仲を変に推測する「邪推する人」の心中を、「邪推される人」も推測します。つまりお互いが手探りで推し測っているのですね。

・僕は女性の上司と一緒に通りを歩いていただけなのに、友だちから二人の仲を邪推されてしまった。

「邪推(名詞)」の例文

「邪推」を名詞的用法で「邪推は~」「邪推の~」「~は邪推だ」などのように用います。

・邪推は、他人の言動を悪い方に推測するという意味です。
・君はとても良い人ですが、唯一の欠点は邪推の多いところです。
・彼女に対してその言い方は失礼だ。それは君の一方的な邪推だ。

「邪推」の類語

「邪推」の類語はたくさん存在しますが、意味が類似している「憶測」「勘繰る」との違いを通じて、「邪推」の意味を深めていきます。

「邪推」と類語「憶測」の違い

「邪推」の意味は、「他人の言葉や行動を、悪い方に推測すること」。他方「憶測」は、「根拠もなくいいかげんに推測すること」という意味で、どちらも推測することでは同じです。

違いは、推測の方向性。「邪推」は悪い方向に推測します。「憶測」は悪い方向ではなく、自分勝手に推測します。

例えば「邪推」で、「君は、二人の仲を邪推している」と言った場合、ひがみから二人の仲を真っ当な方向ではなく、悪い方向に推測します。

一方「憶測」で、「君は、憶測でものをいう人だ」と言った場合は、確かな根拠がないので、想像だけで自分勝手に推測します。

なお「憶測」の意味などを紹介した別記事もありますので、合わせてご覧ください。
→ 「憶測」とは?意味を中心に類語や使い方を詳しく解説

「邪推」と類語「勘繰る」の違い

「邪推(名詞)」のサ変動詞「邪推する」の類語には「勘繰る」があります。

「邪推する」とは、「他人の言動を、悪く推察する」。一方「勘繰る」は「あれこれ気を回して、悪い意味に推察する」。

どちらも「悪く推察する」でとてもよく似ています。

国語辞典の中には「勘繰る」=「邪推する」と明言しているものが複数存在しています。類義語や類語というよりも、同義語と言っても良いのかもしれません。

まとめ

「邪推」とは、「他人の言動を(悪くないのに)悪い方向に推察すること」。

「邪推する人」はゆがんだ考えがあるので、相手の好意に対して素直に受け入れることができず、何も悪くない相手に対して悪い方向に推量してしまいます。

もし筆者自身が「邪推する人」の立場になった場合、友だちや同僚が助言してくれたら真摯な態度で耳を傾けたいですね。






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