「見解」は「けんかい」と読みます。どちらかと言うと新聞やテレビのニュースでよく耳にする言葉です。
例えば国民の関心あるテーマについて、政府首脳や政府の高官が「見解を表明した」とか「見解を示した」などと報道されますよね。
いわゆる責任や影響力ある人が示す「見解」とは、どのような意味のある発言なのでしょうか?
ではこれから「見解」とは何か?意味を中心に使い方や類語などを含め、用例を交えながら分かり易く解説します。
目次
「見解」とは
「見解」の意味
まず国語辞典による「見解(ケンカイ)」の意味から見ていきましょう。
「見解(ケンカイ)」:物事に対する見方・考え方。解釈や評価の仕方。
(引用元:(引用元:大辞林)
「見解」の「見」は、「意見」の言葉でも使われ「見方」「考え」の意味を持ちます。また「解」は、「理解」の言葉でも使われ「解釈すること」「判断し理解すること」の意味があります。
つまり二字熟語「見解」には、「物事の見方・考え方」「解釈や価値判断の方法」という意味合いがあることが分かります。
多くの場合「見解」は、「質問に対する回答・謝罪・訴訟提起などに対する見方・考え方」「物事の本質や真偽を深く見極め、解釈したり、正しい価値判断をした上で、公に責任を持って公表できる考え」といったニュアンスで用いられます。
一般的には、「弁護士としての見解」や「政府見解」「会社としての見解」などがまとまったら、「見解を表明する」「見解を述べる」「見解を示す」のような言い回しで、重要な判断結果が公に公表されます。
文例として「残業代不払い問題について、労働法に精通した弁護士さんが見解を述べた。」という報道は、
「労使双方や社会の関心事である残業代不払い問題に関する見解は、労働法に詳しい弁護士だからこそ、大切に扱い責任をもって公に示せるのです。」というニュアンスが込められています。
なお「見解」を「ケンゲ」と音読みすると、仏教用語で「深く真理を見きわめる(=悟る)力」という意味になりますが、「ケンカイ」よりさらに深い意味を表します。
「政府見解」の判断は重要で重い
質問に対する回答として「政府見解」が示された事例をご紹介します。
令和3年4月16日野党議員の提出した質問主意書に対して、4月27日に閣議決定した答弁書で、「従軍慰安婦」の表現を不適切とし「慰安婦」の表現を適切とする「政府見解」が示されました。
→ 「従軍慰安婦」より「慰安婦」が適切 閣議決定(一般社団法人全国教育問題協議会)
文科省は9月8日、教科書会社5社からの訂正申請を承認しました。このように、教科書や公式文書では今後使用できない言葉となったわけですが、「政府見解」の判断結果は重要で重い存在ということがよく分かります。
→ 「従軍慰安婦」などの記述削除 教科書会社5社、閣議決定で―文科省(時事通信)
「見解」の読み方
「見解」の音読みは、「ケンカイ」です。
一般的な訓読みとして、「見」は「見(み)る」、「解」は「解(と)く」です。
仏教用語としての「見解」は「ケンゲ」(「ゲ」は「解」の呉音)と音読みします。「ケンカイ」とは意味が異なりますので、使用する際はご注意ください。
「見識」の使い方と例文
「見解」の使い方
「見解」は名詞です。名詞的用法で用いられます。
「見解する」というサ変動詞は存在しないとされているため、動詞的用法が使用されることは稀ですが、格助詞「を」と他動詞を伴う「見解を示す」「見解を述べる」「見解を表明する」のような言い回しがよく用いられます。
ほかの名詞的用法として、「政府の見解」「公式見解」「統一見解」「見解の一致」「見解の相違」のように用いられています。
また「見解」の使い方を流れとして見た場合、関係者間の議論の中で「見解の相違」や「見解の対立」などがあり、それらを乗り超え「見解の一致」を図り、組織として公式の「見解」をまとめて、新聞紙面などで「見解を示す(表明する)」のように報道されます。具体例は例文でご確認ください。
「政府見解」の例文
「見解」する当事者は、主に公的機関・企業・専門家などですが、政策の問題では「政府見解」「政治家の見解」など、法律問題なら「弁護士の見解」などと用いられます。従って政策の問題や法律問題で「素人の見解」を聞きたい人は少ないでしょう。
「見解の相違」「見解の対立」の例文
「見解」をまとめる途中段階では、「見解の相違」や「見解の対立」などの紆余曲折が予想されますが、「見解の一致」を目差して議論を続けます。
「見解を示す」の例文
「見解」がまとまったら、「見解を示す」「見解を表明する」などを用いて公に「見解」を公表します。
「見解」の類語
「見解」の類語はたくさん存在しますが、「意見」「考察」との違いを通じて、「見解」の意味を深めていきましょう。
「見解」と類語「意見」の違い
「見解」の意味は、「問題などに対して深く見極めた考え」。「意見」は、「ある問題についての個人の考え」です。
違いは、「見解」は「深く見極めて、公に責任が持てる考え」ですが、「意見」は「個人的な考え」です。
まず「見解」の「解」は、「解釈すること」「判断し理解すること」という意味ですので、物事の解釈・価値判断について深く見極めた結果、公に責任が持って公表できる考え。「政府の公式見解を表明します」「弁護士としての見解を申し上げます」のように責任を持って公表します。
一方「意見」の「意」は、「心の中で思い巡らすこと」という意味ですので、個人的な考えになります。
※「意見」の意味などを紹介した別記事もありますので、合わせてご覧ください。
→ 「意見」とは?意味を中心に類語や使い方を詳しく解説
「見解」と類語「考察」の違い
「見解」の意味は、「公の問題などについて、十分検討して出した考え」。「考察」は、「物事を明らかにするため、よく調べて考えること」。
違いは、考えの出し方。「見解」は「十分検討して出した考え」ですが、「考察」は「よく調べて出した考え」です。
まとめ
「見解」は、政府・公的機関・責任ある個人などが、公に責任が持って公表できる考えです。
「見解」の類語「意見」の意味は、私的な考えですので責任追求されることはありませんが、「見解」は、社会的な影響力が大きく責任が持てるものでなければなりません。慎重に検討した上で「見解を表明」することが大切です。