会社を休む時、有給休暇届の理由欄には何と書きますか?

カレンダーを見ながらいつ有給休暇を取ろうかな!

たとえば平日、病院や旅行に行くとします。「●●病院に通院」とか「▲▲へお花見に」とか書きたくないですよね。

では、私用・私事都合などと書いたら、労働基準法上問題になるのでしょうか?

ところで私は会社で労務を担当しているので承知しています。理由欄への記載はびっくりする程シンプルなんです!

では、有給休暇を取る時の理由の書き方、長期の連続休暇を取得する時の理由の書き方、有給休暇のオススメ取得方法等をご紹介します。


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有給休暇を取る時の理由の書き方

有給休暇は労働基準法39条では、年次有給休暇と言います。

では年次有給休暇で短期間休む場合、休暇届の理由欄には何と書いたらいいのでしょうか?

原則的には、有給の理由は書く必要ない

ズバリ正解は...

  • 有給休暇の理由は、原則として書く必要ありません。

3人の方がツイートで答えていますので、ご紹介しますね。




「私用」・「私事」・「書く必要ありません」と三者三様ですね。原則として理由は書く必要ありませんので、全員正解です。

書くとしたら、「私事都合」・「私用のため」・「家事」・「家事都合」、先ほどの「私用」・「私事」などが一般的な理由でしょう。

有給の理由が何故不要かは、労基法が求めてないから

では、有給の理由がなぜ不要か。法律的に説明しましょう。

まず、繁忙期等ではない一般的な時季に請求する年次有給休暇ですので、労働基準法第39条第5項本文をご覧ください。

使用者は、年次有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない(労働基準法第39条第5項本文)。
ただし、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は他の時期に年次有給休暇を与えることができる(同項ただし書)。


第1章では、繁忙期や長期休暇等を除く一般的なケースの有給を扱いますので、「本文」を中心に説明します。

よく見ると「本文」では、取得理由について触れていませんね。

有給の理由は、会社側にとっては一般的に知りたいもの。従業員にとっては、何か言われそうだからと考えながら、無難な「私事都合」とか「私用のため」などの理由で提出します。

お互いに、表に出ないところで苦労している有給の理由ですよね。それがなぜ法律的には不要なのか、知りたくなりませんか?

  • 有給で休むとき、労働基準法39条5項本文が求めていないので、有給の理由を書かなくていい。

労基法が求めているのは理由ではなく、氏名と時季

労基法は、有給の理由を求めていないのなら、何を求めているのでしょう?

その前段として、「本文」の「労働者が行使できる時季指定権」について触れます。使用者は「ただし書」にある例外的な場合を除き、原則として労働者の時季指定権を認め、労働者の請求する時季に有給休暇を与えなければなりません。

つまり「本文」が本当に求めているのは、「誰が」と「時季」。時季とは、取得予定日のこと。ですから氏名と時季を取得届に書けばいいのですね。

  • 氏名
  • 時季(取得予定日)

なお今在籍中の会社(私が労務管理を担当)には、有給休暇取得届はありません。

休暇を取得したいときは、従業員が上司にメールで送ります。項目は氏名と取得日の2つだけ。理由は強要していませんが、自ら必要と判断すれば書いてきてくれます。



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長期で連続休暇を取得する時の理由の書き方

第1章では(短期の)有給で休むとき、原則的な理由の書き方などについてご紹介しました。

◆有給休暇の理由は、原則として書く必要なし、でしたね。

この章では例外的なケース・長期休暇で休むときの理由の書き方についてご説明しますね。

もし長期で休まれたら、短期休暇と比較して事業の運営に大きな支障が出るのは確かです。それでも長期休暇も理由を書く必要ないのでしょうか?

長期の連続休暇は、理由を詳細に書いて調整も必要

前掲のように従業員には有給の時季指定権があり、通常は理由の如何によらず休暇を取得できます。

もちろん長期休暇でも時季指定権があるので、会社側はできる限り従業員が指定した時季に休暇を取得できるよう努力します。

例えば、1ヶ月間の連続休暇を請求されたら会社はどうするでしょう。代替要員を確保することだけでも大変さです。しかも、業務運営に支障が生じることも考えられますよね。

できるだけ支障が出ないように、関係する社内の業務計画や他の従業員の休暇予定等との事前調整が必要になってくる訳ですよね。

もちろん、この従業員との事前調整を行うことも必要になります。ただ従業員が拒否すれば、会社側は時季変更権の行使に踏み切らざるを得なくなる可能性が出てきます。



つまり連続する長期休暇の場合は、短期のように氏名と時季を届け出るだけではダメ。事前調整のために、休暇届の理由(目的)を詳しく書いて早めに提出しましょう。
1.理由を詳しく書く
2.時季指定権行使の前に調整に応じる
3.早めに休暇届を提出する


以上は一般論でしたが、代替要員の確保が困難な状況のなかで時季指定と時季変更の関係を理解するのにちょうどいい判例がありました。

結果的に、従業員の時季指定に対して会社側の時季変更が認められた判例です!

時事通信社長期休暇事件【最高裁 平成4年6月23日】

・時事通信の記者が、始期と終期を特定した約一か月の長期休暇時季指定した。
・記者は会社側と業務計画や交替要員の休暇予定等の事前調整は行わなかった。

・会社側は、時季指定に対して休暇の後半部分を時季変更するよう回答し、時季変更権を行使した。しかし記者は出勤しなかった。
・提示内容は、時季指定に対する相当の配慮(業務が専門的知識を有するため、代替者の約一か月確保が困難の状況/休暇を2度に分けて回答)をしていることから、時季変更が適法と判断された。


この判例では時季指定に対して会社側の時季変更は適法とされました!

ココが大切! 従業員が長期かつ連続する休暇を取得する場合は、一方的に「時季指定」を行ってはなりません。

また時季指定権行使の前に、会社が作成した業務計画や交替要員の休暇予定等の事前調整を上司と行うべきです。さらに休暇を2度に分けて回答している等時季指定に対して相当の配慮をしている場合、敵対するのではなく再調整してみてください!


有給休暇のオススメ取得方法

できれば理由は書きたくない従業員、できれば理由を知りたい会社側。休む日の前日に休暇届を出されても、なかなか交替要員は見つかりません。無理やり聞き出すことは違法となってしまいます。

この相反する問題の解決案「有給休暇のオススメ取得方法!」 ご紹介しますね。

  • 短期休暇の場合は、取得予定日の3日前までに届け出る
  • 上司が理由をしつこく追及してきたら、違法です

取得予定日の3日前までに届け出る

取得予定日の3日前(または就業規則などに記載されている届出日)までに届け出る。理由は書かない、または書ける範囲で書いてください。

3日前までに届け出ることによるメリットは2つ考えられます。
◆交替要員を探す期間ができる ⇒上司が嬉しくなります!
◆要員探しに専念でき、理由を書かれる事が減少 ⇒社員が嬉しくなります!

では実際にあなたの会社の就業規則または労働契約書をご覧ください。有給休暇取得の届出日についての記載はありますか?書かれていればその届出日より手前に、書かれていない場合は3日前に届け出るとよいでしょう。

コレが私の会社の労働契約書(年次有給休暇規定)です。届出日は3日前にしてあります。
管理人の会社の年次有給休暇規定です

でも、長期休暇の場合は、3日前と言わずさらに手前の日に届け出てください。上司もきっと喜びます。交替要員を確保する期間がさらに必要ですからね。

上司が理由をしつこく聞いてきたら、違法です!

最後に、適法か違法か判断に困ることって結構ありますよね。適法か違法かの判断で間違えやすい事例をまとめました。

■違法または就業規則違反
・上司が理由をしつこく聞いてくる。現実はコレが多いです。
・理由の内容だけで承認・却下の判断を下している。
 (同時に複数の休暇申請が出た場合、理由の重要性・緊急性等を考慮のうえ、判断することは適法です。)
・病気でもないのに、体調不良などと嘘の理由を書く。法律上は問題とはなりませんが、就業規則上該当すれば懲戒処分を下すことができる可能性もあります。嘘はやめましょうね。

■適法
・有給休暇届出書に理由記載欄が設けられている。
・有給休暇の理由を任意で書くよう要請された。


まとめ

有給休暇の理由は「私用」でも「私用のため」でも「未記入」でも全く問題ありません。法律的には、労働者には『時季指定権』があり、理由の如何によらず休暇を取得できるとされています。

しかし、休暇届を出したら必ずその期間必ず休めるわけではありません。特に、労働者が長期かつ連続する休暇を取得する場合は、ご注意くださいね。

会社側にも時季変更権が認められています。会社側と事前調整を十分行って、業務計画や交替要員の休暇予定等の調整を行ってください!

そして、労使双方納得したうえで、有給休暇を取得してください。







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