「払拭」は「ふっしょく」と読みます。聞きなれないな~と感じる方も大勢いることでしょう。

政治家や企業が不祥事を起こしたとき、新聞やテレビのニュースで「払拭」の2字が良くないイメージでよく取り上げられます。

例えば「政治とカネの問題が問われており、責任を取るため議員辞職するだけでは疑惑は払拭されません」などと報道されます。

ではこれから「払拭」とは何か?意味を中心に使い方も含め、用例を交えながら分かり易く解説します。

実は「払拭」の意味はとても深いので、意味解説には力を入れました。辞典的(または一般的)な解説だけでなく、語源からの意味の繋がり方や類語との違いからも解説します。


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「払拭」とは


「払拭」の意味

「払拭(ふっしょく)」とは、「不都合なものをきれいに払いのけること」という意味です。

その「不都合なもの」とは、物理的なちりやほこりではなく、精神的に良くない感情(不安感・不信感・懸念など)や良くない事柄(悪弊・疑惑・悪評判など)です。

例えば「感染拡大の懸念が払拭できない限り、延期か中止だ」「過去の不祥事で根本原因の払拭を掲げたが、再び起きてしまった」「担当大臣が、風評対策を講じて地元の懸念の払拭に努めたいと強調した」のように用いられます。

しかし3例とも「払拭しました」とは断言していません。つまり、長い年月をかけて蓄積された懸念や悪弊を「払拭」する(綺麗にする)ことは、政界や企業においては中々難しいことのようですね。枠内の物理的なちりやほこりとは大きな違いがあります。


物理的なちりやほこりは、「払(はら)」ったり「拭(ふ)」けば簡単に綺麗になります!

「払拭」を構成する「払」には「払(はら)う」の訓読みが、「拭」には「拭(ふ)く」の訓読みがあります。共に「物質的なものを取り除く」という意味ですので、ゴミなどを取り除く場合は「払拭」ではなく「払う」か「拭く」を使うとよいでしょう。


「払拭」の語源から意味の繋がり

「払拭」の「払」は「左右に払いのける」の意味を持ち、「拭」は「ふいて汚れをとる」の意味を持ちます。

さらに「払」と「拭」を合わせた熟語「払拭」の本義(=成立当時からある本来の意味)は、「ちりやほこりなどの汚れをふいて綺麗にする」という意味になります。

以上から「払拭」の語源は「払拭」の本義から来ていますが、払いのけるものが物質的なものから精神的なものへ転化しながら繋がっているのが分かります。


「一掃」との違いから「払拭」の意味を深める

「払拭」の類語に「一掃」があります。「払拭」と同様に「きれいに払いのけること」を意味します。

違いは、「払拭」が精神的に悪い影響を及ぼすものに対してですが、「一掃」は善悪を問わず全てのものに対して「走者一掃の二塁打」「在庫一掃セール」「不安を一掃する」などのように用いられます。

「一掃」との違いを比較してみたところ、「払拭」の方が意味が限定されていることが分かりますね。


「払拭」の読み方

「払拭」の音読みは、一般的には「ふっしょく」です。

「ふっしき」(「しき」は「拭」の呉音)という読みもありますが、ほぼ相手に意味が通じません。一人で音読する時に使いましょう。


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「払拭」の使い方と例文

「払拭」の使い方は、「払拭する」というサ行変格活用の動詞(以下、サ変動詞)として用いる方法と「払拭」を名詞として用いる方法があります。

結論から言いますと、「払拭」の主な使い方は前者の「払拭する」で、名詞「払拭」に動詞「する」が付いたサ変動詞(複合語)です。

なお「払拭のため~」のように「払拭」を名詞として用いることは極めてまれですので、例文の説明は割愛します。


「~を払拭する」

「払拭する」は他動詞として使用するサ変動詞です。
・「不安感を払拭する方法は、ランニングなどで体を動かすことです。」
・「悪い評判を払拭することは時間がかかります。」


「~が払拭される」

「払拭される」は、サ変動詞「払拭する」の未然形「払拭さ」に助動詞「れる」が付いたものです。自動詞として使われます。
・「連戦連敗が続いたが今日勝利して、チームの暗い雰囲気が払拭された。」
・「30年続いた社長が昨年交代し旧弊が払拭され、会社の雰囲気が良くなった。」


まとめ

新聞やテレビのニュースで取り上げられる「払拭」の2文字。意味を中心に、語源・類語との違いや使い方などを解説してきました。

「払拭」を聞きなれないな~と感じる方もご理解できましたか。これからはテレビや新聞は、注意して見るといいですね。

「払拭」と「払」・「拭」との関係(近くて遠い)も興味深かったことと思います。






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