「一掃」という言葉を聞いたことありますか。
「在庫一掃セール」「走者一掃の三塁打」「疑惑を一掃する」、これら全てに「一掃」という漢字が含まれています。
「在庫」「走者」「疑惑」の3つは何の関係もないように思えますが、「一掃」の意味を知れば繋がりが分かります。
では「一掃」とは何か?意味を中心に、使い方・類語(払拭)などを解説します。
目次
「一掃」とは
「一掃」の意味
国語辞典による「一掃」の意味から見ていきます。
「一掃(イッソウ)」:残らず払いのけること。
(引用元:旺文社国語辞典)
「一掃」の「一」は、「一国(国全体)」でも使われ「~中全て」「~の隅から隅まで」の意味を持ち、「掃」は「掃(は)く」という意味の他に、「はき清めたように全て取り除くこと」という意味があります。
つまり二字熟語「一掃」は、「残らず全て払いのけること」「隅から隅まで取り除くこと」という意味合いがあることが分かります。
また「一掃」は、おおかた「溜まっていて目ざわりになるものやすっきりしない状態を、全て取り除いてなくすこと」といったニュアンスで用いられます。
その用例として、冒頭で掲げた「在庫一掃セール」「走者一掃の三塁打」「疑惑を一掃する」などという言い回しがよく使われます。
文例として「在庫一掃セールで、冬物コートが完売できた。」という店長の感想には、「在庫の山になり目ざわりになっている冬物コートを、全て売り尽くす(取り除く)ことができて良かった。」というニュアンスが込められています。
「一掃」の文法と使い方
「一掃」は名詞です。
「冬物一掃セール」「走者一掃の三塁打」などの名詞的用法で用いるほか、「一掃する(サ変動詞)」という動詞的用法でも用いられます。
なお「一掃する(サ変動詞)」は、名詞「払拭」+サ変動詞「する」で「一掃する」という複合語となります。
「一掃」の類語
「一掃」と類語「払拭」の違いを通して、「一掃」の意味を深めましょう。
「一掃」と類語「払拭」の違い
「一掃」の意味は、「目ざわりになるものを残らず払いのけること」。「払拭」は「不都合なものをきれいに払いのけること」です。
どちらも払いのけることで同じですが、違いは2つ。
1つ目の違いは、「払拭」は精神的に悪い影響を及ぼす「不安感」「疑惑」などを払いのけますが、「一掃」は精神的や物質的に関係なく、目ざわりになる「在庫」「不安」「疑惑」などを払いのけます。
2つ目の違いは、「払拭」は「きれいに払いのける」だけですが、「一掃」は「全て残らず払いのける」こと。「一掃」の「一」は「全て」の意、「走者一掃の二塁打」は塁上の走者全員のこと、「在庫一掃セール」は在庫品全てのことです。
※「払拭」の意味などを紹介した別記事もありますので、合わせてご覧ください。
→ 「払拭」とは?意味を中心に類語や使い方を詳しく解説
「一掃」の使い方(例文)
「一掃」の主な使い方は2種類あります。
・「一掃」を名詞として用いる方法
・「一掃する」というサ変動詞として用いる方法
「一掃(名詞)」
「一掃」は、「走者一掃」「冬物一掃セール」のような言い回しで用いられます。
・デパートの冬物一掃セールは12月から始まるようだ。
「一掃する(サ変動詞)」
サ変動詞「一掃する」は、「~を一掃する」のように用いられる他動詞です。
まとめ
「一掃」とは何か。意味を中心に使い方や類語などを解説してきました。
「一掃」は、全て残らず払いのけること。
「在庫一掃セール」「走者一掃の三塁打」「疑惑を一掃する」の意味もよくお分かりいただけたことでしょう。