「良識ある行動」とか「良識を疑う」などと用いられる「良識」ですが、本当の意味がよく分からないという方多いでしょう。

「良識」の意味は「常識」と似ていることは何となく分かります。実際、「良識」の類語は「常識」ですから。

ではこれから「良識」とは何か?意味を中心に、類語・使い方などを解説します。

なお、第1章の「良識」の意味、第2章の 「良識」と類語「常識」の違いをご覧いただくと「良識」の意味がよく理解できます。


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「良識」とは

「良識」の意味

国語辞典による「良識」の意味から見ていきます。

「良識(リョウシキ)」:すぐれた見識。善悪の判断を下せる、社会的につちかわれた見識。
〔フランス語 bon sens の訳語といわれ、ホルツェンドルフ原著、原澄蔵訳「随感随録時事慢評」(1892年)に見える〕
(引用元:大辞林)


「良識」という熟語は、大正時代にフランス語「bon sens」の訳語として登場した言葉と言われています。

「bon sens」とは、「物事を正しく判断し、正しいことと間違ったことを区別する能力」という意味を持ちます。

つまり「良識」の意味「すぐれた見識。善悪の判断を下せる、社会的につちかわれた見識。」は、「bon sens」から来ていることが読み取れますね。

また「良識」は、おおかた「一般的な社会人として、物事の本質をとらえる判断力を持ち、善悪の判断を下せるしっかりした考え。」といったニュアンスで用いられます。

その用例として、「良識ある行動」「良識ある人」「良識を疑う」などという言い回しがよく使われます。

文例として「彼は社会人になって3年も経つのだから、もっと良識ある行動をとっていほしいです。」という上司の感想には、「最近は、企業理念にも良識ある行動と記載されています。社会人として良識ある行動は当然のことですよ。」というニュアンスが込められています。

その社会人とは、実社会で働いている人のことを言います。ですから、学生や生徒に対しては「良識」という言葉は通常使用しません。

なお、参議院はかつて「良識の府」と呼ばれていました。社会人として・参議院議員として、「良識」に基づいて善悪を正しく判断し、自由な議論が行われていたことが推測されます。

「良識」の文法と使い方

「良識」は名詞ですので、名詞的用法として用いられます。

主な使い方としては、「良識ある行動」「良識がある」「良識に訴える」のような言い回しで用いられます。

なお「良識」+「する」で「良識する」というようなサ変動詞的用法で用いることはできません。

「良識」の文例は第3章でご確認ください。




「良識」の類語

「良識」の類語「常識」「見識」との違いを通じて、「良識」の意味を深めていきます。

「良識」と類語「常識」の違い

「良識」の意味は、「すぐれた見識。一般の社会人として、善悪を正しく判断する能力」。他方「常識」の意味は「一般の社会人が共通に持っている知識や判断力」です。

ともに一般の社会人として、必要な判断力を所持していることで、同じ意味です。

違いは、「良識」は善悪により一々判断します。「常識」は、社会人が共通に知識(や判断力)として持っています。

「良識」の場合、大雨と強風の中での屋外イベントの開催の是非について、一般の社会人である主催者から「大雨と強風のため、イベントは中止します。」という良識ある非の判断が出されたわけですね。

「常識」の場合は、社会人なら「常識」を持って(知って)いることは当然のこと。「常識」ある人は電話する時間帯を知っているので、取引先の就業時間帯に電話します。なお社員がいなくなった深夜に電話する人を「非常識」と言います。

「良識」と類語「見識」の違い

「良識」の意味は、「すぐれた見識。社会人として、物事の善悪による健全な判断力」。一方「見識」は「本質を見通す確かな考え。物事の本質を見通すすぐれた判断力」で、ともにしっかりした判断力や考えです。

違いは、判断力のレベルの差です。

「良識」は一般の社会人が持つべき健全な判断力です。「見識」にも判断力が求められますが、物事の本質を見極める最高レベルの判断力ですから「良識」とは比較になりません。

なお「見識」の意味などを紹介した別記事もありますので、合わせてご覧ください。
→ 「見識」とは?意味を中心に使い方や類語を詳しく解説

「良識」の使い方(例文)

「良識」の使い方は、名詞として用いる方法だけです。

「良識(名詞)」

名詞である「良識」は、「良識ある」「良識がある」「良識を疑う」「良識に訴える」のような言い回しで使われます。

・市民の良識ある1票で市議会に返り咲きたい。
・彼は社会人としての良識があるので、安心して付き合える。
・彼は立派な大人だと思っていたのに、良識を疑うような行動をとることがある。
・選挙戦もあと3日間、市民の良識に訴えていくことに全力を尽くします。

まとめ

「良識」とは何か。意味を中心に使い方や類語などを解説してきました。

一般の社会人が持つべきものに「常識」がありますが、「良識」も持つべきなんですね。

「良識」と「常識」の違い、覚えておいてくださいね。






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